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BMD-4とBMD-4M 「M」の一文字の違い

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BMD-4とBMD-4M 「M」の一文字の違い


BMD-4Mはロシア空挺軍が装備する空挺歩兵戦闘車であり、誤解を恐れずに簡潔に言い換えれば、空挺戦車である。Mが付く名の通りBMD-4の改良発展型であり、BMDシリーズの車両としては5代目と言え、ASU-57から数えれば7台目にあたる、空挺戦闘車両の集大成と言える車両である。が、採用・調達開始には紆余曲折があり、その結果として生まれたのがBMD-4M」である。今回はこの改良点に焦点を当てようと思う。


本題に入る前にもう少し軽くBMD-4Mと言う車両について記しておこう。基本的なバックストーリーは上記に記したとおりだが、もう1つ、本車の特徴を捉えるうえで重要な車両が存在する。BMP-3歩兵戦闘車である。国防省によってBMD-4の採用・調達が拒否され、未練タラタラの空挺軍は既存兵器とのコンポーネント共用でコストを抑えることで何とか新型AFVの確保までにたどり着くわけだが、つまり、BMD-4MにはBMP-3との多くの共通点を有することになったはずである。BMD-4BMD-4Mの単純な比較だけでなく、BMP-3との共通点を見つけ出すことも焦点となる。

動力系

力であるが、BMD-4ではBMD-3に搭載されていた2V-06系統のエンジンで改良型の2V-06-2を搭載していたが、BMD-4Mでの変更でBMP-3と同じUTD-29に変更された。これによって、BMP-3とのコンポーネント共用が進んだと言える。


これはエンジン排気口の位置が変わったことからも確認することができる。当然、BMP-3と同じ位置、車体右側1つのみに変更されている。BMD-4では、車体後部左右両側に2つある。エンジンと排気口系の変更はバリエーション車両のBTR-MDBTR-MDMにおいても確認できる。
BMD-4のエンジン排気口位置 

BMD-4Mのエンジン排気口位置 BMP-3と同じ位置。

転輪および軌道輪も
BMP-3とよく似た形の物になったが、同一であるかどうかは鮮明な画像が無く判別できなかった。少なくとも、下部転輪はBMD-4で採用されていた転輪に凹みのないデザインのものからは変更されているようである。履帯は特に変更が無いものと思われ、シングル・ピン式のBMP-3に比べやや幅の狭いものになっている。ちなみにBMP-3とはダブル・ピン式で異なる。

車体構成




車体構成では、車体前面の上部装甲と下部装甲繋ぎ目部分の構成の変化があげられる。BMD-4は上部装甲板A1と下部装甲板A3の境目に繋ぎの装甲板A2が存在する。これはBMD-3と同じ構成になっている。一方、BMD-4Mでは上部装甲板A1と下部装甲板A2が直接繋がっており、BMP-3と同じ構成になっている。
BMD-4の車体前面構造。青色のA2に注意
BMD-4Mの車体前面装甲。2枚で構成されている。



BMD-4Mでは車体に増加装甲板を設置して防御力を強化することができる。もちろん、浮航性や空中降下能力を妨げない程度の追加になる。この改良は車体構造の変更によってより恩恵を受けられるようになったと言えよう。実際、車体正面上部の張り出しや運転手用ペリスコープを避けるように穴があけられた広い面積の一枚の増加装甲板を装備された写真を確認できる。これが、BMD-4の車体構造では車体正面上部に存在する張り出し部を考慮しなければならない点や、恐らく面積でも狭くなることが考えられ、不利を被ると言えよう(少なくとも筆者はインターネット上でBMD-4Mの青写真を入手することができなかった。等倍であるという保証はないが、画像で比較したかったので残念でならない)。車体正面のほか、側面とスカート部にも追加できるようである。ただでさえ装甲が薄いBMDの側面となれば敵に狙われることは必至であり、砲塔バスケットと砲弾、空挺隊員の乗車スペースと重要な要素が多いことから極めて妥当であると言える。


 また、HEATAPFSDS30mm機関砲弾が飛び交い、そもそも車体装甲が薄いと思われる本車でどれほどの効果があるかは全くの未知数だが、車体正面上部装甲の傾斜はBMD-4Mで浅くなっている。車体部を隠すような戦車壕を掘れば、本車の油気圧サスペンションを利用し、攻撃時のみ姿を現し、それ以外では姿を隠すような運用の助けになるかもしれない。いずれも、トップ・アタックの対戦車ミサイルや地面すら貫くAPFSDSには無力であろうが

武装・各種機器類


武装はバフーチャ-U砲塔を採用・搭載する点では共通していると言える。もっとも、使用される装甲板の改良によって重量を増加させること無く防御力を向上させている点や、搭載される対戦車ミサイルは9M113「コンクールス」から9M117M「バスティオン」にアップグレードされている点で異なる。いくら機械化されたとはいえ空挺部隊は戦車を軸とした高火力機甲戦力に対しては火力・防御力の両面で不利を強いられるだろうことから、それらに対してアウトレンジできる手段の強化は極めて当然と言える。なお、9M117M1「アルカン」ミサイルである、という情報もあることを記しておく。

無線機はRosElectronics製のR-168-25UE-2に変更されている。半二重通信方式で-40から55℃の環境でも動作し、電波妨害等の電子戦能力はもちろんのこと、耐水性と耐砂塵性、耐衝撃性を備え、高い信頼性を有している、とされている。そのほか、車両の各種パラメータをモニタリングするデジタル・ディスプレイやNBC防護システム、FCS等、各種システムも完備している。


今後のBMD-4MらAFVと空挺軍

つまるところ、BMD-4Mでの改修は、以下の要点にまとめられる。


・既存兵器コンポーネントとの共通化


・防御力の強化


・対戦車ミサイルや各種デジタル・システムの近代


 これにより、国防省から採用・調達の決定、開始がなされることになる。調達数は20年までに1000量とされる。クルガネェツ-25を採用するか?と言う議論の際には、重量とそれによる空中降下能力・輸送面両方に対する悪影響を考えてか「ニィェット」という判断がなされたようだ。防御力の強化は国防省にBMD-4の調達拒否をされた際の理由の一つであり、気を使った部分のようだ。


 もちろん、本車の性能面だけでなく、空挺軍が近年存在感を増しつつある現状も影響しているだろう。ウクライナでの「義勇兵」には空挺軍兵士が紛れている事実(実際第76師団のBMD-2がそこで鹵獲されたという情報がある)や北極圏での即応展開部隊としての役割等々である。空挺軍は精鋭としてロシア連邦誕生後のほぼすべての実戦に投入され、評価を高める一方、装備の多くはソヴィエト時代の旧式を多く引き継いでいるのが現状である。Rhkm2S25M2S42空挺自走迫撃砲(mortar)BTR-MDMなどや開発中とされる車体流用の対空システム「Ptitselov等と共に、BMD-4Mは空挺軍の機械化を強く推し進める存在になるだろう。BMD-4M2と呼ばれる新たなタイプの出現も17年になって表れ、Sinitsaモジュールやサーマルスコープ等を揃えているようであり、今後の動向に注視したい。

さて、筆者の能力ではこの程度が限界であり、ここで筆を置くことにするのが良いだろう。見落とし、間違いがあれば筆者の能力不足のよるものであり、弁明のしようもない。それでも気にかけてくださる方がいたら、コメント欄や筆者ツイッターにてご指導を承りたいと思う次第である。私個人では「キドセン」よりロマンとスマートさに溢れる車両だと思っているのだがいまいち日本では知名度が低く、同名の軍事概念に圧倒されるばかりのBMD。いつか人気車両の仲間入りをしないものかと

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